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宇治川合戦之図

歌川国芳

宇治川合戦之図

宇治川合戦は永寿2年(1183年)京都の宇治川で行われた源義経と木曽義仲の合戦だが、ここに描かれるのは合戦にまつわる2つのエピソードである。「梶原源太景季」は、源頼朝の所持する名馬いけずきを欲しがったが、頼朝は二番目に大切にしていたする墨を与えた。ところがいけずきはなぜか「佐々木四郎高綱」に譲られ、景季は高綱を目の敵にしていた。さて合戦の日、2人は戦地への一番乗りを争って宇治川へと向かう。はじめは景季が先頭を切ったが、高綱は「馬の腹帯が緩んでいるよ」と言って景季が結び直す隙に追い抜き川へ飛び込んだ。力強く進む先頭の高綱に比べ、景季は川の流れに閉口した様子である。画面の右には、五百余騎を率いた「畠山庄司次郎重忠」が、途中で射られた馬を担いで後に続く。重忠を親のように慕う「大串次郎安利」は馬が流され重忠に掴まって岸を目指す。
三枚続きそれぞれの画面に人物を大写しに描く作品。川の流れのすさまじさ、武者の勇敢さが伝わってくる。

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