menu

江都八景」より 「品川秋月」

歌川広重

江都八景」より 「品川秋月」

「江都八景」は、江戸の8つの景「墨田暮雪」「真乳夜雨」「飛鳥落雁」「品川秋月」「両国夕照」「洲崎晴嵐」「佃島帰帆」「不忍晩鐘」を集めた画帖形式の作品。
「品川秋月」では、嘉永6年(1853)に沿岸に御台場(砲台)を築くために切り崩された御殿山が生々しい姿をさらけ出している。
画面奥の海上に表れた細長い堤防のようなものがその御台場。豆粒のような人物や海上の小舟などまで描き出す繊細な表現は、手にとって間近で楽しむ画帖ならではの効果的な描法である。
モチーフの大半をシルエットで描き、墨にうっすらと藍を用いるだけの色数を抑えた画面からは、月明かりに照らされた夜の静寂さが伝わってくるようだ。

ページトップへ